小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

ネコの肥大型心筋症 診断・管理の理論と実際 第2版

ネコの肥大型心筋症 
診断・管理の理論と実際 第2版

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■著者:竹村直行
■A4判 ■121 頁 ■並製本 ■カラー
■定価:本体価格10,000 円+税
■ISBN978-4-86382-110-1 ■商品番号 0543

書籍の案内

ネコの心臓病として最も発生率が高い肥大型心筋症の病態、診断および管理を、一般臨床家と学生の方々向けに解説したモノグラフ、6年ぶりの改訂版。
本書専用の動画・音声視聴用アプリも配信している。

改訂のポイント

● 限定的心エコー図検査を解説
● 一次診療施設でも知っておくべき病態、一過性心筋肥厚について記述
● 左室流出路閉塞に関する記載を大幅に改訂

目次

Part1

ネコの心臓病診療の特殊性

① ネコの心臓病診療の特殊性
 (1)好きなこと,嫌いなことがイヌと異なる
   1)通院時の注意点
   2)待合室での注意点
   3)診察室での注意点
   4)入院中の注意点
   5)心臓病のネコの診察時の注意点
 (2)心臓病のネコは診療対象になってから歴史が浅い
 (3)肺高血圧の合併率がイヌより低い
 (4)心拡大が見られても発咳しない
 (5)左心不全でも胸水が貯留する
 (6)動脈血栓塞栓症の発生率が高い
 (7)ネコでは心臓病の重症度・ステージ分類基準,ガイドラインがない
 (8)ネコでは診察時の心拍数が速い
 (9)ネコの心臓病は外科適応にならない
 (10)薬剤服用量が制限される傾向が強い
② まとめ:様々な制限の中で最良の医療を構築する
Part2

心筋症の分類,各種心筋症の概要および一過性心筋肥厚

① 肥大型心筋症
 (1)概要
 (2)原因
 (3)発生頻度
 (4)シグナルメント
 (5)臨床徴候
 (6)病理所見
 (7)拡張相肥大型心筋症の特徴
  コラム1 拡張期肥大型心筋症のネコの1例
② 拘束型心筋症
 (1)概要
 (2)原因
 (3)発生頻度とシグナルメント
 (4)臨床徴候
 (5)病理所見
③ 拡張型心筋症
 (1)シグナルメント
 (2)臨床徴候
 (3)病理所見
 (4)診断および治療管理
④ 不整脈原性右室心筋症
 (1)概要
 (2)臨床徴候
⑤ 分類不能心筋症
⑥ 一過性心筋肥厚
⑦ 各種心筋症の発生割合および生命予後
 (1)各種心筋症の発生割合
  コラム2 一過性心筋肥厚と臨床診断されたネコの1例
 (2)各種心筋症の生命予後
 (3)臨床徴候別に見た肥大型心筋症の生命予後
⑧ まとめ
Part3

肥大型心筋症の病態生理および臨床像

① 拡張障害の病態生理
 (1)肥大型心筋症の病態生理
 (2)拘束型心筋症の病態生理
② ネコ種による肥大型心筋症の臨床像の違い
 (1)性別
 (2)診断時の年齢
 (3)心臓イベント
 (4)心不全徴候の有無
 (5)生存期間
③ まとめ
Part4

肥大型心筋症の各種診断検査

① 検査の概要
② 問診
③ 身体診察
 (1)呼吸状態および呼吸数
 (2)水和状態および体重
 (3)マッスル・コンディション・スコア(MCS)
 (4)大腿動脈の触診および毛細血管再充満時間
 (5)心臓の聴診
   1)心拍数
   2)不整脈
   3)心雑音
  コラム3 動的右室流出路閉塞が見られた健康ネコの1例
   (ⅰ) 音量
   (ⅱ) 無害性雑音および貧血性雑音
 (6)トリアージ・アルゴリズム
④ 全身性高血圧
 (1) 全身性高血圧に関連する諸問題
 (2)全身血圧の測定
 (3)全身性高血圧の治療
⑤ 心電図検査
 (1)心腔拡大の診断
 (2)不整脈の診断
 (3)心筋症に付随することが多い不整脈
   1)心室早期拍動および心室頻拍
   2)心房細動
   3)脚ブロック
   (ⅰ) 右脚ブロック
   (ⅱ) 左脚ブロック
   4)第3度房室ブロック
⑥ 胸部X線検査
 (1)椎骨心臓スケール
 (2)しばしば経験する胸部X線像
   1)横隔膜ヘルニア
   2)バレンタイン・ハート・サイン
   3)極度な左房(左心耳)拡大
   4)胸水貯留
   5)肺水腫
⑦ 心エコー図検査
 (1)心エコー図検査前の注意点
   1)鎮静剤・麻酔剤の使用
   2)水和状態,貧血および頻脈の影響
 (2) 限定的心エコー図検査
   1)右側傍胸骨左室長軸像
   2)右側傍胸骨心基部短軸像
 (3)従来の心エコー図検査
   1) 拡張期の左室壁厚および心室中隔壁厚の測定
   (ⅰ) Mモード法による測定
   (ⅱ) Bモード法による測定
   (ⅲ) leading edge to leading edge法
   (ⅳ) 測定値の再現性(測定者内変動)と対応
   (ⅴ) 左室肥大の除外診断
   2) 左房サイズ
   3) 左房内血栓およびもやもやエコー
   4) 心内膜のエコー輝度
   5) 左室拡張能の評価
   6) 左室流出路閉塞および僧帽弁収縮期前方運動
   (ⅰ) 概要および病態
   (ⅱ) 左室流出路閉塞の確認および評価法
   (ⅲ) 僧帽弁収縮期前方運動の確認および評価法
 (4) 肺エコー
⑧ 心臓バイオマーカー
 (1) ANPおよびNT-proBNP
 (2) cTnI
 (3) 血清アミロイドA(SAA)濃度
⑨ 遺伝子検査
Part5

心筋症の治療に用いる各種薬剤

① 錠剤の分割と粉砕
② ピモベンダン
③ アンジオテンシン変換酵素阻害薬
④ アンジオテンシン受容体拮抗薬
⑤ アムロジピン
⑥ β遮断薬
⑦ 利尿薬
 (1)フロセミド
 (2)スピロノラクトン
 (3)トラセミド
⑧ 抗血栓療法に使用される薬剤
 (1)線溶療法に使用される薬剤
   1)凝固系と線溶系
   2)再潅流障害
   3)ウロキナーゼ
   4)組織型プラスミノーゲン活性化因子
 (2)抗血小板療法に使用される薬剤
   1)アスピリン
   2)クロピドグレル
 (3)抗凝固療法に使用される薬剤
   1)ダルテパリン
   2)その他
⑨ 鎮痛剤
⑩ その他の心臓病治療薬
 (1)硝酸イソソルビド
 (2)ヒドララジン
 (3)ジルチアゼム
 (4)サイアザイド系利尿薬
 (5)ニトログリセリン
 (6)ジピリダモール
 (7)シロスタゾール
 (8)ワルファリン
 (9)イバブラジン
Part6

肥大型心筋症の治療

① 無徴候の症例の治療
 (1)これまでのエビデンス
   1)アンジオテンシン変換酵素阻害薬
   2)β遮断薬
   3)スピロノラクトン
 (2)獣医循環器専門医の実践内容
   1)アンジオテンシン変換酵素阻害薬
   2)ジルチアゼム
   3)β遮断薬
   4)利尿薬
   5)動脈血栓塞栓症の予防療法
 (3)当科での現状
   1) 左室肥大が存在するのみで,左房拡大,左室流出路閉塞および僧帽弁収縮期
     前方運動は見られない症例
   2) 左室肥大に加えて軽度な左房拡大が見られる症例
   3) 中程度から重度な左房拡大が見られる症例
   4) 左室肥大に加えて左室流出路閉塞および僧帽弁収縮期前方運動が見られる症例
② うっ血性心不全の症例の治療
 (1)重度な呼吸器徴候を示す症例の管理
 (2)入院が必要ではないうっ血性心不全の症例の管理
③ 動脈血栓塞栓症の症例の診断および治療
 (1)原因
 (2)診断
 (3)治療
 (4)血栓予防療法