小動物臨床総合誌 MVM(エムブイエム)、小動物腫瘍臨床 Joncol(ジョンコル)、獣医眼科プラクティス、動物看護コアテキスト 発行-ファームプレス

学会・セミナーレポート

第29回日本獣医皮膚科学会 学術大会・総会 開催

 2026年3月7日(土)、8日(日)の2日間にわたり、(一社)日本獣医皮膚科学会による第29回学術大会・総会が国際ファッションセンタービルKFCホール(東京都・墨田区)で開催された。テーマは「アトピー性皮膚炎の最前線から未来へ」。
 初日に行われたDr. Peter Hill(Small Animal Specialist Hospital:SASH)による招聘講演「犬アトピー性皮膚炎の診断および管理に関する最新情報」では、本疾患の定義に関する歴史や治療の選択肢等について、40年にわたる一次診療、二次診療およびイギリス、オーストラリアでの経験をふまえ講演された。その他基礎セミナーでは大隅尊史先生(東京動物皮膚科センター/神宮前動物病院)による「模擬症例で学ぶ:ビデオオトスコープで行う外耳洗浄の実際―手順とコツ、トラブル回避~」、ランチョンセミナーでは「犬アトピー性皮膚炎が治らないときあなたは何を考えますか?」(村山信雄先生、犬と猫の皮膚科/(公財)日本小動物医療センター)が実施され、初日から会場には多くの参加者がつめかけた。
 続く2日目は科学講演が実施され、犬アトピー性皮膚炎の診断と治療に関する最新の知見について人医療の治験を交え、福山朋季先生(麻布大学)、中島沙恵子先生(京都大学)が講演。パネルディスカッション「臨床皮膚科医の視点からみたアトピー性皮膚炎診療40年の軌跡~pitfallの解決と今後の課題~」では、大阪はびきの医療センターの片岡葉子先生を迎え実施された。パネルディスカッションには片岡先生(前出)、伊従慶太先生((株)1sec.)、中島先生(前出)、朝比奈良太先生(岐阜大学)を迎え、モデレーターの小林哲郎先生(理化学研究所)のもとで実施された。
 また2日目の基礎セミナーは「犬アトピー性皮膚炎に対するスキンケア」(江角真梨子先生、東京農工大学)、ランチョンセミナーは「犬アトピー性皮膚炎のアンカーセラピー:~増悪期の荒波に備える~」(西藤公司先生、東京農工大学/当学会長)、「さらに楽しい総合診療の中の皮膚科を目指して」(伊從慶太先生、(株)1sec)が実施された。2日間を通し、参加者たちはアトピー性皮膚炎への理解を深めた。
今大会では一般講演に14演題が集まり、ポスターセッションで18のポスターが発表され、一般講演から「ヒスタミン皮内反応を応用した外用グルココルチコイド製剤の皮膚浸透評価系の構築」(竹尾記子先生、麻布大学)と「飲水に伴う外耳からの液体流出を主徴とした犬の耳管開放症の1例」(五十嵐里菜先生、兵庫ペット医療センター・JASMINEどうぶつ総合医療センター)、ポスターセッションからは「日本国内における犬アトピー性皮膚炎の臨床的特徴の解析」(森田 直先生、むつみ動物病院)がアワードを受賞した。また優秀論文として「犬の脂漏症におけるオゾンバブル浴の有効性と安全性」(後藤謙治先生、後藤動物病院)が受賞した。
 来年2027年の第30回学術大会は記念大会として3月20日(土)、21日(日)にTOC有明(東京都・江東区)で規模を拡大し実施される。テーマは「総合診療の中における皮膚科臨床」を予定。当会のますますの活躍が期待される。


当学会長の西藤先生による開会の挨拶


パネルディスカッションの様子


アワード受賞者、優秀論文賞の受賞者と西藤会長

ヒトと伴侶動物の比較医学研究会
第5回セミナー 開催

 2026年3月4日(水)、東京都港区・JARVISどうぶつ医療センターTokyoにてヒトと伴侶動物の比較医学研究会第5回セミナーが開催された。
 今回は約2年ぶりの開催となり、「伴侶動物とヒトの未病ケアを支える次世代の再生医療」のテーマのもと、基調講演や特別講演などが行われた。午前の基調講演では、本会会長である水野拓也先生(山口大学/どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター)の「犬の自然発症がんに対する免疫チェックポイント分子阻害療法の開発と臨床応用-比較腫瘍学的アプローチによるトランスレーショナルリサーチの展開-」、本会前会長の落合孝広先生(東京医科大学)の「細胞外小胞とアンチエイジング-細胞間コミュニケーションが拓く次世代医療-」の2講演が行われた。
 午後の特別講演では、計8題が行われ、(株)メディカル・アーク代表取締役の伊藤 博先生の「ヒトと伴侶動物医療を統合する共通プラットフォーム構想」をはじめ、医学界および獣医療界の専門家が集結し、再生医療をテーマに講演が行われた。獣医療界からは鳩谷晋吾先生(大阪公立大学)の「伴侶動物におけるES細胞およびiPS細胞研究」、森 崇先生(岐阜大学)の「microRNAによるがんスクリーニングは次の予防医学となり得るか」等の講演が行われた。
 会場として2025年10月に開院したJARVISどうぶつ医療センターTokyoの5階セミナールームが使用され、会場外のロビーには手術支援ロボットのプロトタイプモデルが展示、セミナー終了後には病院見学も行われた。
 本会会長である水野先生は「本会は人および伴侶動物の医学を比較・検証することで新たな診断および治療法を確立し、科学の発展に寄与することを目的に活動している。とくに研究のみならず社会実装を軸足に置いているので、多くの協賛企業にとっても有益な会を目指したい。また今年から年一回の開催を継続していきたい。」と述べた。来年は2027年11月に東京農工大学140周年記念会館(エリプス)にて開催予定。


会場の様子

(一社)日本獣医動物行動学会 第2回学術集会/設立25周年シンポジウム 開催

 (一社)日本獣医動物行動学会は、2026年2月28日(土)に第2回学術集会、3月1日(日)に設立記念25周年シンポジウムを東京大学 中島薫一郎記念ホール・弥生行動・アネックス(東京都文京区)で開催した。
 初日の学術集会では「症例/研究発表 口頭発表」「症例/研究発表 ポスター発表」「教育講演」の3つのプログラムが実施された。
「症例/研究発表 口頭発表」は午前と午後の部に分かれ、座長に武内ゆかり先生(東京大学、当学会副会長)と藤井仁美先生(Ve.C.〈ベックジャパン〉動物病院グループ行動診療科、当学会副会長)、フリッツ吉川 綾先生(ヤマザキ動物看護大学)を座長に迎え6演題が発表された。「症例/研究発表 ポスター発表」では8名の先生が発表。「教育講演 行動診療、一人で抱えていませんか? チームで挑む行動診療の意義と実践例」では、白井春佳先生(にいがたペット行動クリニック)、野口ゆづる先生(さきがおか動物病院)を講師に、堂山有里先生(バーニー動物病院)がファシリテーターを務め、愛玩動物看護師との連携や紹介元の獣医師、ドッグトレーナー、トリミングサロンとの連携について白井先生、野口先生それぞれの実体験をもとに展開された。
 二日目の設立25周年記念シンポジウムは「診療の困ったを解決する臨床行動学~鼻の先から尻尾の先まで~」をテーマに行われた。当学会長の水越美奈先生(日本獣医生命科学大学)の挨拶からはじまり、「【皮膚×行動】症例検討会『犬のアトピー性皮膚炎と行動(精神)』」では、皮膚科から関口麻衣子先生(アイデックスラボラトリーズ(株)、行動診療科から白井春佳先生(前出)、和田美帆先生(千葉どうぶつ総合病院)が、「【眼科×行動】座談会『視覚障害の犬の生活を豊かにするには?』」では、眼科から辻田裕規先生(どうぶつ眼科専門クリニック)、行動診療科からは水越美奈先生(日本獣医生命科学大学、当学会長)、野口先生(前出)が登壇した。続く「犬の診療や治療に活用できるハズバンダリートレーニング」(藤井 勝先生、Dolphin Boy Academy)では、診療や治療時における犬の自発的・協力的な参加支援のトレーニング手法などを紹介され、会場は理解を深めた。
 最後に合同座談会「投薬治療に攻撃性を示す犬;私たちはどう対応しているか」が実施された。ファシリテーターは岸野友祐先生(Kawabata 横須賀三浦どうぶつ医療センター、シンポジウム大会長)が務め、“治療プランの構築”“身体的疾患の治療の緊急性と、行動学的な問題が衝突したときの選択の実際”などPVP(Pre-Visit-Pharmaceuticals)の使用例等、他科を跨いだ積極的な意見交換が行われた。
 いずれのプログラムも時間が足りないほどに熱心な質疑応答が交わされた。オンライン聴講者含め参加者は2日間で400名を越えた。当学会会員をはじめ参加者の学ぶ意欲の高さがうかがえた。第3回学術集会は2027年2月27日(土)、東京大学弥生講堂にて実施予定。


第2回学術集会の様子


合同座談会の様子

(一社)日本動物病院マネジメント協会 第22回研修会 開催される

 2026年2月18日(水)、四谷・コモレ四谷タワーコンファレンスにおいて、(一社)日本動物病院マネジメント協会 第22回研修会が開催された。
 今回は「『動物病院業界に広がるM&Aの波』〜動物病院業界のM&A事情と、私たちが今知っておきたいこと〜」をテーマに、はじめにFA(フィナンシャルアドバイザリー)に関するサービスを提供する合同会社デロイト トーマツの三枝真也氏による講演「動物病院とM&A」が行われ、飼育頭数や動物病院数などの現在の獣医療の現状、異業種との比較、そもそもM&Aとは何かについて解説した。
 次に事例発表として、実際にM&Aによる事業運営を行っている以下のグループが集まり、それぞれの運営理念や実際の運営方法について解説した。
 ○A’alda X(株) 渡利真也先生および中村篤史先生
 ○イオンペット(株) 永井貴志先生
 ○小滝橋動物病院グループ 中村泰治先生
 ○(株)Japan Animal Care Holdings 長谷宜勇氏
 ○VCA Japan合同会社 王 秀樹氏 (発表順)
 最後に登壇者が一堂に集まるパネルディスカッションが行われ、(株)Miracleの村田悠一氏および本協会顧問の溝口健太氏の司会の元、会場内のアンケートに答える形でなかなか外部ではきくことができない貴重な意見を交換した。
 本会会長の中井隆三氏(日本動物医療センター)によると、今回史上最多の参加者が集まったとのこと。業界関係者の多くがM&Aにかかわる情報収集の意識が高いことを感じる会であった。
 

会場の様子

第37回日本臨床微生物学会総会・学術集会 開催

 2026年2月13日(金)~15日(日)まで、幕張メッセ・国際会議場(千葉県千葉市)で、第37回日本臨床微生物学会総会・学術集会が、総会長・髙橋 孝先生(北里大学 大学院感染制御科学府・大村智記念研究所 感染症学/獣医臨床感染症研究会 顧問)のもと開催された。
 本学会は「臨床微生物学と感染症検査に関する学術研究および技術の進歩発展を図り、もって国民の健康増進および公衆衛生の向上に寄与すること」を目的として設立された。
 テーマは「臨床[医]と微生物検査[師]との更なる絆[会場で楽しみながら学ぶ、学びながら楽しむ]」。プログラムでは人獣共通感染症・One Health・薬剤耐性(AMR)に関する様々な内容が展開された。新しい取り組みとして「他学会合同教育講演」が実施され、獣医臨床感染症研究会等が参加した。獣医臨床感染症研究会のプログラムでは、小泉信夫先生(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所細菌第一部)による「ヒトのレプトスピラ症」、村田佳輝先生(むらた動物病院/東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター)による「犬のレプトスピラ症の現状-人獣共通感染症の感染対策・今後を考える」が発表された。
 また「地震被災地で気を遣う人と動物の感染症」と題したシンポジウムでは、獣医師として栗田吾郎先生(大村智記念研究所)、田中亜紀先生(日本獣医生命科学大学)が登壇するなど、あらためて人医療と獣医療の連携の大切さが実感された。
 また、総会長企画「学会黎明期に貢献された功績を旨に刻み、次世代へ繋ぐ」では、現在にいたるまでの本学会の歩みが、故人の功績やエピソードとともに紹介され、次世代へ伝承したきメッセージが講演された。
 今後さらに、人医療と獣医療との連携が深まることが期待される。


講演する村田佳輝先生



総会長の髙橋 孝先生の講演の様子

第33回日本獣医がん学会 開催される

 2026年1月24日(土)、25日(日)、ホテルニューオータニ大阪(大阪府)にて、第33回日本獣医がん学会が開催された。
 今大会のメインシンポジウムのテーマは「咽頭・喉頭・気管の腫瘍」で、前半は座長に杉山大樹先生(ファミリー動物病院、本学会副会長)を迎えて行われた。「咽頭・喉頭・気管の腫瘍 総論」を藤原亜紀先生(日本獣医生命科学大学)、「咽頭・喉頭・気管の画像診断」を山城徳之先生(合同会社VECTA、株式会社JACCT、近畿動物医療センター)、「生検」を藤原亜紀先生(前出)と末松正弘先生(AMC末松どうぶつ病院 呼吸器・循環器センター)、「病理」を田邊美佳先生(動物病理診断センター)、金 尚昊先生(北海道大学)が担当した。後半は廉澤 剛先生(日本小動物医療センター)に座長が替わり「咽頭・喉頭・気管の腫瘍に対する放射線腫瘍」を根本有希先生(山口大学)、「気道閉塞から呼吸を取り戻す! 咽頭・気管に対するインターベンションおよび外科治療」を末松先生(前出)と展開された。
 病理×画像診断シンポジウム、外科シンポジウム、症例検討会、顕微鏡実習、教育講演、一般口演では24本の報告と4本のポスター発表が実施された。また、ペトヤク(株)、(株)ANCHORS、(株)すとろーはうす、(株)HACHIの協賛によりランチョンセミナーが行われた。またモーニングセミナーにも早朝にもかかわらず多くの参加者が足を運んだ。また前学会よりはじまった愛玩動物看護師企画も、小山田和央先生(松原動物病院)による「外科療法総論」、田戸はるひ氏(Vetscom)による「腫瘍外科看護 ~チーム医療の要となる! 腫瘍外科における愛玩動物看護師の役割~」、清水夕貴氏(岡山理科大学)による「どうぶつの“いたみ”を看る」の講演が行われた。さらに「顎骨切除の“その後”を支える―動物看護師ができること、すべきこと―」をテーマとしたパネルディスカッションでは宮浦百合子氏(松原動物病院)、市川奈央子氏(動物総合医療センター)、佐藤越子氏(ゼファー動物病院)が事例報告で登壇した。
 また本学会でも引き続き獣医腫瘍科認定医講習会を兼ねる総合教育講演(腫瘍の臨床診断と治療8科目)も実施された。
 2日間で約700名の参加者が集い、獣医腫瘍への知識を深めた。
 新会長の小林哲也先生のもとで本格始動となる今大会では、SNSをはじめとしたソーシャルメディアの活用、夢基金、アジアの学会への参加など、時流に合わせた新しい学会の方向性が発表された。
 日本にとどまらずアジアにおける本学会の活躍へ、ますます期待が高まる。


病理×画像診断シンポジウム「脾臓病変にどう挑むか?『切る・刺す・見守る』の判断基準、次の一手は?」の様子
賀川由美子先生(ノースラボ)、戸島篤史先生(日本動物医療センター)、小林哲也先生(日本小動物がんセンター、本学会長)のテンポよいやり取りに、会場が盛り上がった


外科シンポジウム「四肢腫瘍切除後の皮膚欠損をどのように治療するか」の様子
演者の浅野和之先生(日本大学)、小山田和央先生(松原動物病院)、高木 哲先生(麻布大学)が会場の参加者を交え、皮膚再建について活発に意見を交わした


メインシンポジウム「咽頭・喉頭・気管の腫瘍」の総合討論の様子


一般口演の様子
24演題が発表された


ポスターセッションの様子
それぞれ3分間の発表ののち、質疑応答の時間が設けられた

(一社)日本獣医インターベンショナルラジオロジー学会第2回学術集会 開催

 2026年1月10日(土)・11日(日)、日本大学生物資源科学部本館(神奈川県・藤沢市)にて、(一社)日本獣医インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology:IVR)学会(会長 浅野和之先生〈日本大学〉)が開催された。
 IVRは、X線透視やCTなどの画像診断機器のガイド下にてカテーテルや針を用いて行う診断や治療の総称であり、開胸や開腹をせずに診断や治療を行う非侵襲的手法である。人医療だけでなく、小動物医療においても普及しつつあり、技術向上のみならず、安全な実施や適応判断を含めて検討すべき課題は多く、本学会はその課題の克服と幅広い普及を目指している。

 プログラムの初日は、午前中にドライラボ「IVRの基礎講習、基本手技の習得」が行われ、午後はシンポジウム1「Precision surgeryを支えるデバイス 超音波吸引装置の真価を引き出す」をテーマに田村 啓先生(東京農工大学 小金井動物救急医療センター)、浅野先生(前出)による「獣医学での超音波吸引装置の臨床応用」が講演され、医学領域から本田吾郎先生(東京女子医科大学 肝胆膵外科)をお招きして「医学における肝胆膵領域に対する超音波吸引装置の臨床応用」が講演された。その後、医学領域における超音波吸引装置の使用法を実際を学んだ上で獣医学領域にどのように応用できるかについて熱い議論が交わされた。

 2日目は、午前中の「VIRIES~国際学会を体感しよう~」では、石垣久美子先生(本会理事、日本大学)により「VIRIESとは?」をテーマに、2025年8月に日本・京都で実施された「Veterinary Endoscopy Society(VES)/Veterinary Interventional Radiology& Interventional Endoscopy Society(VIRIES)の国際大会」の報告および、VIRIESの安全・活発に意見交換できる組織文化等、詳細が紹介された。続いて、実際にVIRIES京都大会で発表された池田正悟先生(千村動物病院)による犬の肺動脈狭窄に対するステント治療、竹内 僚先生(日本大学)による猫の難治性排尿困難に対する人工尿道括約筋(AUS)設置に関する講演が行われた。午前中最後のプログラムとして今年5月に実施される「2026年度VIRIES」の紹介と参加の呼びかけが行われた。
 昼には朝日インテック株式会社協賛のランチョンセミナーが実施され、低侵襲治療に役立つ新規デバイスとして細径内視鏡やマイクロカテーテルが紹介された。
 午後のシンポジウム2は「肝臓腫瘍に対する治療戦略と展望」をテーマに、「肝臓腫瘍に対するIVR」について川村悠太先生(川村動物病院)、「肝臓腫瘍に対する放射線治療の現状」について森 崇先生(岐阜大学)、「肝臓腫瘍に対する外科戦略」について浅野和之先生(前出)が講演された。最後に総合討論が行われ、それぞれの治療法の特徴が整理されるとともに、今後の適応についても議論がなされた。

 「IVRという治療は、まだ100%確立された治療方法ではありません。したがって、みんなで様々な議論を重ねていく上で適応を見極める必要があります。」と、本会会長の浅野先生が、IVRに対する考え方を述べた。さらに、北米を中心としたVIRIES、ヨーロッパの低侵襲治療学会と本学会は連携していき、グローバルに展開していくことを約束しています。「本学会に留まらず、ぜひVIRIESのホームページをみて、参加をして、できれば発表もしていただき、IVRの発展に寄与していただければと思います。低侵襲治療を学ぶ意欲のある方は、ぜひ本学会と同様、VIRIESに関心をお寄せいただきたい。とても暖かい学会ですので、世界各国の先生方から様々なアドバイスをもらえるでしょう。」
 次回の本学会学術集会は日本大学にて今年同様に2027年1月初旬に予定されており、VIRIESは2026年5月13日~15日に、VES(獣医内視鏡学会)とボストンにて共催される予定である。
 小動物への低侵襲治療の牽引役として、本学会の果たす役割は益々大きくなると期待される。
 詳細は以下より。

【(一社)日本獣医IVR学会】
https://www.jsvir.net/index.html
【VES】
https://veterinaryendoscopysociety.org/
【VIRIES】
https://viries.org/


日本IVR学会長 浅野和之先生(前出)


「シンポジウム1 Precision surgeryを支えるデバイス 超音波吸引装置の真価を引き出す」のご講演の本田先生(前出)。人医療の立場からIVR治療について解説された


初日、総合討論会の様子。左から、本田先生(前出)、浅野先生(前出)、田村先生(前出)。ファシリテーターは須崎信茂先生(本会副会長、すざき動物病院)と石垣久美子先生(前出)


石垣先生(前出)による2025年8月に日本・京都で実施されたVES/ VIRIES国際大会の報告、およびVIRIESの紹介


ランチョンセミナーの様子。講師は浅野先生(前出)、協賛は朝日インテック株式会社


シンポジウム2「肝臓腫瘍に対する治療戦略と展望」総合討論の様子。左から浅野先生、森先生、川村先生。ファシリテーターは高橋秀児先生(高橋動物病院)と石垣先生

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 獣医倫理・動物福祉学 講義の実施

 2025年12月16日(火)、日本大学 生物資源科学部本館第一講義室(神奈川県・藤沢市)で、柴内晶子先生(赤坂動物病院・日本臨床獣医学フォーラム幹事)による獣医倫理・動物福祉学の講義が実施された。

 この科目は当大学獣医学科の1年生を対象としており、複数名の実務経験のある教員が授業を担当するオムニバス形式で、毎年後期に開講されている。学生たちが獣医倫理・動物福祉について理解を深め、その考え方を礎に獣医学を学んでいってもらいたいという大学側の考えから実施されている。全15回の講義のうち、柴内先生は非常勤講師として、「伴侶動物に対する獣医療と獣医倫理」と「動物介在療法と獣医倫理」という内容で2回の講義を担当されている。

 講義では伴侶動物の歴史や臨床現場での現状、飼い主家族との信頼関係構築、セカンドオピニオンを求める飼い主家族を迎えるあるいは送り出す際の対応、愛する動物が虹の橋をわたる時に獣医師として求められる対応等を、獣医師として会得しておくべき倫理・動物福祉をからめ包括的に紹介。また国家資格化された愛玩動物看護師との連携、ジェネラリストとスペシャリストの関係について、講師自身の動物病院での例を交え紹介された。AAA(Animal Assisted Activity)、AAT(Animal Assisted Therapy)、AAE(Animal Assisted Education)の実践の様子も取り上げ、高齢者や子供たちにどのようなよい効果が期待されるか、動画も交え解説された。2025年2回目の講義は12月23日(火)に実施される。

【日本大学 生物資源科学部 獣医学科については下記より】

https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~NUBSvmd/

 

講義の様子

柴内晶子先生

 

 

 

2025年度 第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会 開催される

 2025年12月12日(金)~14日(日)、宮城・仙台国際センターにて第111回日本獣医麻酔外科学会 学術集会が開催された(同時開催:第28回日本獣医内視鏡外科学会学術総会)。
 今大会のテーマは「いざ仙台へ!東北から始まる獣医外科の新たな一歩」である。
 1日目の午後からはJSVESのプログラムであるパネルディスカッション「内視鏡外科における技術習得・器械環境整備の壁を超える~初学者からエキスパートまで~」が開催された。2日目からは講演会場が6ヵ所になり、整形外科、軟部組織外科、麻酔・疼痛管理の各プログラムが開催された。プログラムは基調講演、教育講演、シンポジウム、パネルディスカッション、リフレッシャーコース、症例検討会、一般演題、レジデントによる若手獣医師のためのBasicセミナー、専門医と囲むFIRESIDEと多彩であり、どの会場も非常に盛況であった。
 2日目のハートウォーミング企画では、獣医療の世界でこれから女性が活躍できる環境をどのように整備するか、主に人材再開発という視点で、岩井聡美先生(北里大学)と関 真美子先生(日本大学)の座長のもと、4名の先生方による講演が行われた。とくに林 慶先生(コーネル大学)のアメリカにおける獣医療の現状に関する話題では、聴講者との意見交換も活発に行われ、会場内のよりよい環境整備へ向けた熱意が伺えた。
 同日夜には仙台国際ホテルにて情報交換会が開催され、アワードの授与および新たに日本小動物外科専門医の認定を受けた1名の先生の表彰が行われた。
 3日目には基調講演である「ロボット支援手術の現状と未来」が行われ、亀井 尚先生(東北大学大学院医学系研究科消化器外科学)から、人医療でのロボット支援手術のエビデンスを含めた現状や制度が解説された。会場は立ち見が多く出るほどの盛況ぶりであり、2025年7月より国内販売が開始された第5世代の「da Vinci(ダビンチ)」の紹介や、実際の手術の映像などに見入る聴講者の姿が印象的であった。
 小動物外科の手技の教育という部分にとどまらず、獣医療のこれからと本学会自体をよりよいものにしようという熱意が伝わる3日間であった。
 次回の2026年度 第112回日本獣医麻酔外科学会学術集会は、2026年6月19日(金)~21日(日)に、埼玉・大宮ソニックシティにて開催予定。

基調講演の様子

情報交換会でのアワード授与の様子

日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会 開催される

 2025年12月7日(日)、ちば愛犬動物フラワー学園にて日本獣医輸血研究会 第13回学術講習会が開催された。
 午前中は日本獣医輸血研究会の認定資格である「JSVTM認定輸血コーディネーター」の認定項目となる2つの講義が行われた。認定項目1は加藤真理子先生(日本獣医生命科学大学付属動物医療センター)の「血液製剤の種類と作製」、認定項目2は石田沙恵先生(苅谷動物病院グループ)の「血液製剤の取り扱いと保存」であった。また、並行してJSVTM認定輸血コーディネーター第4回試験が行われた。
 そして今回初めて、認定コーディネーター限定のセミナーが開催され、クローズドな環境で普段の輸血療法・献血にまつわる悩みの共有、疑問などをディスカッションする大変よい機会になった。
 午後は教育講演があり、瀬川和仁先生(せがわ動物病院)が「生理的な止血機構と検査」を、丸山治彦先生(日本大学)が「犬と猫の先天性止血異常症」を講演した。講演後は、参加者から活発な質疑応答があり、関心の高さが伺われた。
 最後にパネルディスカッション「緊急時の輸血、どうしてる?」が行われた。冒頭に、血液製剤確保の方法、適合試験、輸血療法を適応している疾患や症例の実際を、一次診療について菊田 基先生(浦安中央動物病院)が、二次診療について小島一輝先生(日本動物高度医療センター)が、夜間救急病院について塗木貴臣先生(TRVA動物医療センター)が説明した。その後、呰上大吾先生(東京農工大学)を座長に、普段の輸血療法適応時の流れやタスクフロー、緊急時はどうしているかについてディスカッションが展開された。
 対面参加者数は約40名で、愛玩動物看護師の参加者も多かった。
 本講習会のプログラムのすべてVETSCOPEにて12月15日(月)~翌年1月14日(水)まで視聴が可能である。
 


講義の様子

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